|

|
|
健康のための高たんぱく質
最高の発育と免疫機能のためには高品質たんぱく質が必要 |
|
|
高たんぱく食について、様々な誤解があるようだ。犬の健康のためにドッグフードを考えるなら、まずその誤解を解き、正しい知識を身に付けなければならないと思う。今回は「ドッグフードには高たんぱく質が必要、健康のための高たんぱく質」として、高たんぱく質がいかに犬の健康に不可欠なものであるかをご紹介。
食事から摂取するたんぱく質と腎臓機能の関係はよく勘違いされることがあるようだ。
「高たんぱく食は腎臓に有害ですか?」というような質問がよくあるが、その答えは「いいえ」だ。
犬は高たんぱく食に適した体の構成
犬がたんぱく質を消化し代謝する際、副産物として窒素が放出される。余分な窒素は腎臓によって尿として排泄され、たんぱく質含有量が高い食事はそれだけ窒素も出るということだ。しかし腎臓はその余分な窒素を尿として排出するので、問題はない。
犬、そして猫の体は元来、この窒素の尿排出をするように出来ている。
たんぱく質がどのようにして腎臓に影響を与えるかを理解するためには、腎臓の働きの大まかな知識が役に立つ。
血液は腎臓を通過している。腎臓はネフロンと呼ばれるもので形成され、このネフロンはたんぱく質異化から出る廃棄物(アンモニア、クレアチニン、尿素、尿酸など)を除去する血のろ過フィルターとしての役割を果たす。
腎臓1つにつき何千ものネフロンで形成され、ネフロンは電解質、ミネラル、水分を再吸収してネフロンの排泄物である尿を作る。これが腎臓の働きの概要だ。
高たんぱく食は腎臓の血流(糸球体ろ過)を増やす。俗説では、食事に含まれるたんぱく質量を減らせば腎臓の働きも減り、それが腎臓を傷めないことになる、と考えられてきた。
この俗説から、昔は犬の腎臓病予防に低たんぱく食を与えるよう指示する傾向があり、過去10年間、この俗説について様々な研究がなされてきたが、この俗説を立証する研究結果は出ていない。
犬に低たんぱく食を与えることによって腎臓病発病を防ぐことは出来ず、また高たんぱく食が腎臓を過労させることはないようだ。
「高たんぱく食は腎臓に悪い」という俗説は、おそらく昔の医療方法から来ていると思われる。昔は腎臓病患者に低たんぱく(低窒素)食事療法が施されていたが、昨今の研究結果から、腎臓病患者にとって重要なのはたんぱく質量ではなく、たんぱく質の品質であることが分かっている。
高品質たんぱく質は消化率が高く、したがって副産物の窒素量も少なくなる。
ペットの腎臓に重大な問題があり、たんぱく質摂取量の調整を獣医に指示される場合を除いて、高たんぱく食は犬にとって健康的でナチュラルなものといえる。
腎臓機能が低下した犬にそれぞれたんぱく質含有量19%、27%、56%の食事を4年間与え続けるという長期研究が行われた。
研究結果では、この3つのグループにおいて腎臓障害の進行に格差はなく、また別の研究では、8分の7の腎臓を除去した犬にたんぱく質含有量16%と31%の食事を14ヶ月間与える実験が行われた。そして、やはりこの2つのグループにおいても腎臓障害の進行に格差はなかった。
この2つの研究で、食事に含まれるたんぱく質量と腎臓病の進行に相互関係は認められないという結果が示された。
つまり、食事に含まれるたんぱく質量を制限しても腎臓病の進行を妨ぐことにはならず、腎臓病の進行と毎日の食事で摂取するたんぱく質量に相互関係はない。
ある研究から、たんぱく質含有量が27%より54%の食事を与えられた犬の腎臓の方がより良く機能をすることが分かっている。同じ研究結果から、犬の高たんぱく食は尿路細菌の退治を助けることも分かっている。
また別の研究では、たんぱく質摂取量を制限することによって本当に腎臓を保護することが可能なのかという検証が行われた。実験用の犬は2グループに分けられ、両グループの犬ともにたんぱく質の影響がより顕著に出るよう、2つあるうちの腎臓を1つが取り除かれた。
グループ1にはたんぱく含有量18%の食事、グループ2にはたんぱく含有量34%の食事を4年間与え続けた。その結果、高たんぱく食による腎臓への悪影響は見受けられず、逆に低たんぱく食を与えられたグループの死亡率が高いということが分かった。
腎臓の質量を減らした犬に行われた研究結果を要約すると、食事のたんぱく質含有量を45%まで上げても腎臓には何ら障害がないこということになる。
※Dog Magazine編集部より
参考引用・協力者であるAKANA FAMILY JAPAN、またそのフードの輸入先である製造元、チャンピオンペットフーズ社は犬と猫の動物実験を認めず、また援助も行っていません。念のためここに明記させていただきます。
子犬には高品質のたんぱく質が必須で、低たんぱく食は子犬にとって有害でさえある。野生の子犬であれば、普通は食べ物の全体量中35%から45%のたんぱく質を摂取している。
成長期の子犬はたんぱく質を成犬よりも多く必要とし、通常の補充と細胞代謝以外にも、たんぱく質は成長期の子犬の筋肉とその他の組織作りに必要だ。
ある実験結果では、低たんぱく食を与えられたイングリッシュ・セッターの子犬は、それよりも多いたんぱく質量の食事を与えられた子犬に比べ発育不良が認められた。しかし、その子犬の食事に含まれるたんぱく質量を増やしたところ、発育不良は改善されたといわれる。
一方、1993年に発表されたオランダのユトレヒト大学でのグレート・デーンの子犬に行われた研究においても、食事に含まれるたんぱく質が有害となることはない、との結果が出ている。
この実験を行ったユトレヒト大学獣医学部教授のハーマン A.・ハゼウィンケル獣医師/博士によると、高たんぱく食を与えた結果、有害な反応は見受けられなかったとし、その一方、たんぱく質量15%の食事を与えた子犬はたんぱく質摂取不足の兆候を見せたとしている。
「たんぱく質量が低すぎると子犬の発育速度と免疫反応が遅れる。これは大型犬、小型犬どちらの子犬にも観測される」とハゼウィンケル教授は述べている。
この研究の結論として、最良の発育と免疫機能のためには高品質たんぱく質が必要であることが強調され、なお、たんぱく質量が極端に少ない、あるいは極端に劣悪な場合を除いて、たんぱく質量の骨格の発育への悪影響は観測されていない。
肉食の犬の消化器官は、大量の肉や脂肪を処理するように出来ている。犬が元来摂る食事に見合った、肉を豊富に使用した食事を与えた方が犬は健康でいられるというのも当然のことだろう。
あらゆるライフステージの犬にとってたんぱく質、またその品質は大変重要で、魚、鶏肉、卵を原材料とした広範囲のアミノ酸を供給することも重要だ。
穀類、でんぷん、野菜では犬が必要とするたんぱく質を供給することが出来ない。
植物には繊維、いくつかのミネラル、ビタミンが含まれまるが、犬の健康と長生きに必要な完璧なアミノ酸バランスを持つのは動物性たんぱく質だけだ。
高齢犬の食事のたんぱく質量を抑えても、腎臓病予防にはならない。それどころか、老犬に与えるたんぱく質量を減らすことは有害にさえなる。
老犬はたんぱく質を若い成犬よりも多く必要としており、老犬は体のコンディションと筋肉を維持するために、若い成犬よりもたんぱく質を必要としている。
老犬の体重と体のコンディションを維持するために必要なたんぱく質を与えることが重要だ。
犬は歳を取るにつれて、栄養素を利用する能力が落ちていく、老犬はたんぱく質の体内貯蓄を維持するために、若い成犬よりも多くのたんぱく質を必要としている。
高齢な犬のケアで重要なポイントは、体重と体のコンディション維持で、適量のアミノ酸を供給し、また好ましい窒素バランスを維持するためには高品質のたんぱく質を与えなければならない。窒素バランスが良い犬は、代謝に必要な十分量の窒素をたんぱく質源から摂取することが出来る。
犬が十分なたんぱく質を吸収しない場合、窒素バランスが崩れてしまう。窒素バランスが崩れると、代謝に必要なたんぱく質が食事から摂取できない。すると体は足りないたんぱく質を補うために、筋肉からたんぱく質を取ることになる。結果、筋肉が痩せ衰え、また体重が落ちてたんぱく質欠乏を引き起こす。
老犬が必要としている栄養に合わせた特別食は数多く市販されているが、これらの特別食の多くが低たんぱく成分となっている。しかし、いくつかの研究結果では低たんぱく食は老犬に有益どころか有害であるとしている。
老犬は高たんぱく食を摂る必要がある。
老犬の体はたんぱく質代謝を効率よく行えない。従って、その代謝されないたんぱく質を補うためにも余分なたんぱく質を供給する必要がある。
ある研究結果では、老犬は若くて健康な成犬よりも50%多めのたんぱく質を必要としていることが分かっている。
最近の研究で、犬の耐久力とスタミナの強化に重要ないくつかのポイントが分かってきた。
たんぱく質含有量を上げると、アミノ酸からグルコースを作るグリコーゲン合成が促進される。その他にも、たんぱく質量を増やすことによって明らかに有益な効果が上がることが分かっている。
たんぱく質の価値について、厳しいトレーニングを受けている犬に16%から40%のたんぱく質量の食事を与えるという研究が行われた。
低めのたんぱく質(16%と24%)を与えられた犬はトレーニング中に負傷、特にたんぱく質16%の食事を与えられた犬は全頭、この負傷からトレーニング続行不可能になった。
たんぱく質量32%と40%の食事を与えられた犬は、トレーニング期間中に全く負傷がなかった。
犬の栄養士がパフォーマンス犬の食事で最も注意する点の1つとして、エネルギー源としてのたんぱく質利用を最小限に抑えるために、たんぱく質以外のエネルギー源を供給する、というものがある。こうすることによって組織修理、ホルモン生成、その他のたんぱく質が担う重要な働きに十分なたんぱく質が利用されるようにしている。
トレーニングによる貧血を防止するためにもたんぱく質は不可欠で、ある研究によると、カロリーの19%をたんぱく質として与えられた耐久犬は24%、32%、40%のたんぱく質を与えられた犬に比べて負傷が多く、酸素摂取が減量、赤血球濃度低下という症状が出た。
40%のたんぱく質を与えられた犬は、トレーニング中他のどのグループの犬よりも循環血漿が高いという結果が出た。このことから、低たんぱく食では運動によって増加する必要栄養素を補うことが出来ないことが分かった。
また、レース用グレイハウンドに行った研究により、脂肪とたんぱく質含有量が高く炭水化物含有量が低い食事を与えた犬の方が、能力が高くなることが分かっている。これは、脂肪32%、たんぱく質25%、炭水化物43%の食事と、脂肪25%、たんぱく質21%、炭水化物54%の食事を比較したもので、脂肪とたんぱく質量が高く炭水化物が低い食事を与えられたグレイハウンドは、平均0.2秒(レースでは勝敗を決める秒数)速い結果を出したとしている。
たんぱく質はエネルギー源であると同時にアミノ酸源でもある。高品質の動物性たんぱく質は消化率とアミノ酸バランスが大変優れており、嗜好性も抜群だ。スポーツ犬は運動することによってたんぱく質必要量が増える。運動は犬の体に負担をかけ、組織分裂や場合によっては組織破損を起すこともある。分裂破損した組織を再生修理するためには多くのたんぱく質が必要となり、この必要量を高たんぱく食で補う必要がある。また、たんぱく質はエネルギーとして利用可能だ。(エネルギー収量1グラムにつき3.5kcal)
また、脂肪は犬のエネルギー源として重要な役割を果たす。
炭水化物と違って脂肪は消化率が高いため、エネルギー供給量を安定させ、脂肪はパフォーマンス犬にとって重要なカロリー源となる。
上記のパフォーマンス犬の食事と必要エネルギーに関する参考資料と研究は、脂肪と生物学的に使用可能な高品質たんぱく質が、犬のスタミナと耐久力にとって重要であることを示している。
一方、炭水化物についてはまだ結論に至っていないというのが現状だ。これまでのところ、上記の研究資料では最高40%のたんぱく質と最高50%の脂肪についてのデータしかない。この割合では炭水化物はほとんど含まれないことになる。
現実問題として、炭水化物に関して公平な研究資料を見つけることは困難だ。これは、このような研究が穀類とでんぷんを多量に使用したドッグフードメーカーからの資金援助を受けていることにも一因がある。
高たんぱく高脂肪の食事が推奨されているにも関らず、実際の市販ドライドッグフードにはこのような成分構成は無いといっていいだろう。
|
■穀物不使用・高たんぱくドッグフードの購入・問い合わせは:Apple Dog(アップルドッグ)
|
■参考引用・協力:生物学的に適正なペットフード ACANA FAMILY JAPAN
関連掲載記事:
2009-2010 ペットフード オブ・ザ・イヤー受賞“ドッグフード”
穀物不使用! アレルギーに配慮、消化吸収の良い魚のドッグフード
|
▲ページのトップへ
|
【記事後記】
今回の「健康のための高たんぱく質」を読んでみて、これまでなんていうフードを食べさせてきたんだろうという後悔でいっぱいになります。最良の発育と免疫機能のためには高品質たんぱく質が必要で、肉食の犬の消化器官は、大量の肉や脂肪を処理するように出来ていて、犬が元来摂る食事に見合った、肉を豊富に使用した食事を与えた方が犬は健康でいられるというのも納得できます。
特に、高齢犬に与えるたんぱく質量を減らすことは有害というのに驚きです。
老犬の体はたんぱく質代謝を効率よく行えない。従って、その代謝されないたんぱく質を補うためにも余分なたんぱく質を供給する必要があるとのこと。老犬は若くて健康な成犬よりも50%多めのたんぱく質を必要としていることが分かっているとのことです。
市販されているシニア用の低たんぱくドッグフードは何のため?と思わずにはいられません。
(瑞木 こころ)
穀物不使用・高たんぱくドッグフードの購入・問い合わせ |
|
 |
犬との暮らしをより楽しく…Dog Magazineのトップページへ
|