犬に指示をしっかり覚えさせるための褒美の使い方
褒美には2つの重要な要素があります。それは「早く覚えさせるため」と「長く記憶させるため」です。犬にある指示を早く覚えさせるためには、犬が指示をうまく実行したとき毎回必ず褒美を与えます。こうすることで、犬は早く覚えることができます。そして、褒美を2回に1度、3回に1度など、さらにたまに褒美をやるというようにすれば、学習した指示を記憶させる効果があります。
つまり、褒美の使い方は2段階になります。第一段階は「犬が指示に従ったとき毎回」、第二段階は「犬が指示に従ったとき、ときどき・たまに」。
この2つの方法が、犬のしつけの基本となります。誉められた行動だけが継続し、より完成度が高まります。これは正の強化と呼ばれるものですが、強化された行動だけが引続き残ります。
ちなみに、褒美はおやつだけではありません。犬にとってうれしいことのすべてです。褒め言葉をかける、撫でてやる、おもちゃで遊んであげるなどのすべてが褒美になります。
逆の場合も同じです。正の強化があれば負の強化も、もちろんあります。例えば、「犬が吠える」→「飼い主が大声で制止する」という場合、犬はいっしょに吠えてくれていと思い、これが褒美(報い)になり、吠えることがさらに強化されることになり、吠えるのをやめることはありません。
次のようなことがよく言われます。
「犬がある行動をし、それが良い結果(褒美)をもたらせば、その行動は続き、好ましくない結果(矯正、罰)を受ければ減少し、何の結果もなければ、その行動は消え去る」。
犬の良くない行動が続く場合は、飼い主が意識をしているかいないかは別にしてその行動をなんらかのカタチで褒めているからです。もし、問題行動があってそれが続く場合は、その問題行動の後になんらかのカタチで褒めていないかを考えてみてください。犬にとって、飼い主に関心を向けられることがうれしいものです。体罰も犬によっては褒美になる場合もあります。
もっとも効果的な方法は、上記にある「何の結果もなければ、その行動は消え去る」です。つまり無視です。
飼い主が意識しているか否かに関係なく、褒めることが良くも悪くも、犬のしつけのすべてにかかっているのです。
次回は、犬を褒めるタイミングで複雑な指示を実行させるシェービングという技法をご紹介します。多くのドッグスポーツに用いられる技法です。
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