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最近、皮膚病に悩む犬が多いようです。皮膚病の原因はノミやダニなどによる外的なものやアトピーやアレルギーなどの内的なものなどが考えられます。皮膚病の治療では、取り除ける原因をまず除去し、現在の症状をコントロールしていくことが大切になります。投薬や食事の見直しなどに加えて、大切なのがシャンプーです。シャンプーによって皮膚、被毛の状態を改善していくことも治療のひとつになります。また、皮膚病を防ぐためにも、正しいシャンプー・テクニックで犬の被毛や皮膚を清潔にすることが大切になります。そんな重要なシャンプーですが、意外に自己流が多いのが犬のシャンプーです。ここではプロならではのテクニックやコツとともに、犬のシャンプーの基本的な方法をご紹介します。


爪きり・毛の刈り込み・ブラッシング
シャンプーの前に爪切りや足裏や肛門周りの毛を刈ります。さらにブラシやスリッカーで全身をブラッシングして、抜け毛を除去して、もつれをなくしておきます。
※爪切りや毛の刈り込みに自信がない場合は無理をせず、ペット美容院にお願いしましょう。

※爪切りやヤスリは安全で使いやすい犬専用のものを用意します。ハサミも犬専用の断髪バサミ、刈り込みバサミ、すきバサミを揃えるほうがよいでしょう。
爪切り
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爪切り後のやすり
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毛の刈り込み
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爪は一度に深く切らず、少しずつカットしていくことがポイントです。 |
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カットした爪のカドをやすりでまるくします。やすりは電動でなくてもよい。 |
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バリカンやハサミを使って、足裏の毛や肛門周りの毛を刈ります。
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■爪は切らずにほっておくと、どんどんのびます。爪がのび過ぎると内側に巻き込み、肉球にくい込んだり、物にひっかけて爪をはがしてしまったり、非常に危険です。
■足裏の毛を刈るのは、滑りにくくするためです。
■肛門の周囲はいつも清潔にしておく必要があります。特に長毛種では、肛門のまわりの毛を短く刈り込んで、排泄した便がつかないようにします。 |


犬のシャンプーをするには、シャワーやお湯が使える風呂場が便利です。湯の温度は犬の体温と同じくらいの38〜39℃が適温です。シャワーヘッドは体に押し付けるようにして使います。こうすることで水の音がしないので怖がることもありませんし、毛の根元や地肌まで濡らすことができます。
お尻や後ろ足から頭へとシャワーをかけていきます。このときに肛門腺を絞ります。顔は耳を押さえてからシャワーをかけます。全身にシャワーをかけますが、毛の根元までしっかり濡らしておくことが大切です。
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シャワーはお尻から頭へ
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肛門腺を絞ります
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頭・顔は耳を押さえて
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シャワーヘッドを体に押し付けるようにして使い、毛の根元、地肌まで濡らすことがポイントです。 |
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肛門をはさむように親指と人指し指を当て、押し出すようにします。 |
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頭や顔を洗う時は耳を押さえて洗います。
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■肛門腺を絞る
肛門をはさむように親指と人指し指を当て、押し出すように肛門腺を押して肛門のうを絞ります。肛門のうを絞っておくと肛門のう炎の予防になります。肛門のうは、排便をスムーズにするための分泌物をためておくところですが、炎症をおこしやすいところです。大型犬などは排泄時にいっしょに外に出ることが多いのですが、小型犬は自分で出せないので、シャンプーをする前に分泌物を絞り出してやります。
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十分に泡立つ量のシャンプーを全身にまんべんなくつけます。シャンプーをつけたら、指の腹でマッサージをするように地肌を洗います。こすり過ぎないようにゆっくり洗います。シャンプーも湯洗いと同様にお尻や後ろ足から頭へと洗っていきます。
脇、内股、指の間、爪の際、足の裏まで丁寧に洗います。顔は耳を押さえながら、目に入らないように注意してゆっくりと洗います。 |
シャンプーはまんべんなく
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マッサージをするように洗う
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目にはいらないように
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十分に泡立つ量のシャンプーを全身にまんべんなくつけます。 |
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指の腹を使ってマッサージをするように地肌を洗います。脇、内股、指の間、爪の際、足の裏まで丁寧に洗います。 |
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顔は最後に洗います。首側から鼻の方へゆっくりと洗います。
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すすぎはシャンプーが残らないように、十分に行うことが大切です。すすぎが十分でないと、毛づやが悪くなったり、皮膚病の原因になります。
シャワーヘッドを体に押し付けるようにして毛の根元までしっかりとすすぎます。予洗いやシャンプーとは逆に、頭からすすぎ始めて、背中、お腹、足へと下へ降りていき、最後に足の裏を流します。これは、せっかくすすいだシャンプー成分が落ちてこないようにするためです。上から下にすすいでいくことがポイントです。
脇や内股、お腹、指の間などはすすぎにくい部分なので、とくに念入りに、ぬめりが残っていないかどうか、確認しながらすすぎます。足の裏にシャンプーが残る場合が多いので、最後にもう一度チェックします。 |
すすぎは頭から下へ
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顔のすすぎは目や鼻に注意して
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脇や内股などは念入りに
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すすぎは頭から始めて、背中、お腹、足へと下へ降りていき、最後に足の裏を流します。 |
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顔のをすすぎは、すすいだ洗浄成分が目や鼻、耳に入らないように注意して、ゆっくり洗い流します。 |
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脇や内股、お腹、指の間などはすすぎにくい部分なので、指でぬめりが残っていないかどうか確認しながらすすぎます。
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リンスは少量を手の平でのばすようにして、全体になじませていきます。頭、背中、お腹から足へ向かって、上から下へのばしていきます。全体にリンスがなじんだら、シャンプーの後のすすぎと同じように、しっかりとシャワーですすぎます。
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十分にすすいだら、はじめにターバンタオル(プロのトリマーが使う超吸収タイプのタオル)で、タオルドライをします。体の上部から足元の順に拭いていきますが、毛の上をなぞるのではなく、地肌と毛の根元をしっかりと拭くことが大切です。
次に温風を使ってドライヤーをかけます。このとき、熱くなりすぎないように注意します。ドライヤーを毛の根元にあてながら、スリッカーブラシで毛の流れに逆らってとかしていくと早く乾かすことができます。
耳の先、足の指の間、足の裏まで完全に乾かすことが大切です。湿っていると皮膚病の原因になったり、また足の指の間、足の裏が湿っていると、舐める原因にもなりますので注意が必要です。
耳に入った水は、綿棒などでやさしく拭き取ります。

※しっかり乾燥させるために、ターバンタオルとスリッカーブラシはぜひ揃えたいものです。
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タオルドライ
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ドライヤーをあてる
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スリッカーブラシを使う
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十分にすすいだら、はじめにターバンタオルで、十分にタオルドライをします。地肌と毛の根元をしっかりと拭くことがポイントです。 |
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ドライヤーを毛の根元にあてながらバスタオルや手ぐしで乾燥させていきます。 |
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ドライヤーをあてながら、スリッカーブラシで毛の流れに逆らってとかしていくと早く乾かすことができます。 |
大切なシャンプー選び
犬用シャンプーはさまざまなものがありますが、犬にとってほんとうに良いシャンプーを選びましょう。犬の肌は非常にデリケートです。シャンプーが原因で皮膚病になることもあります。シャンプー選びに困ったら、信頼できるペットショップや美容室に相談するとよいでしょう。また皮膚にトラブルがある場合は獣医師に相談しましょう。
シャンプーは月に1回を目安とします。洗い過ぎると、被毛や皮膚の油分を減少させ、水を弾く力が落ちたり、皮膚に弾力が無くなったりします。 |
■取材協力/有限会社キタガワ 犬の家copain

■シャンプー指導/犬の家copain 高木真澄・杉本江里
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