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Dog Magzineにお寄せいただいた犬のしつけのご相談です。
ドッグマガジンの編集スタッフが、トレーナーさんをはじめ経験者の皆さんなど、多くの人のご意見をお聞きし、それをまとめてアドバイスをさせていただています。

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【吠える・噛む】
はじめまして。2才のヨーキーを飼っています。
とにかく臆病で散歩中犬に会うと気が狂ったように、吠えたり、車に乗ってても、外を通るひとに吠えます。吠えてるときは、何も見えない、聞こえない状態です。抱いていたりしてたら、噛みついてきます。散歩はなるべく犬のいない時間に行くようにしています。本人もかわいそうで・・・・一生この性格は直らないのでしょうか?
普段は座れ、待てはできます。あまり長く待てをさせたことがないので、正確な時間はわかりませんが、1分間はできます。フセはできません。吠えるようになったのは生後7ヶ月くらいです。(9ヶ月の時に去勢手術をしましたが、その頃から特にひどくなったように思います。)噛みつくのは吠えてるときとたまに遊んでるときです。遊んでるときは「あっ」とか声をかけるとすぐやめ、その後は噛みません。
(8ヶ月の時に1日しつけ訓練をしてもらったことがあるのですが、その時に吠えたら口をおさえ、おさまったら放して褒めておやつをあげろと教わったのですが、噛むようになったのはその時からです。)散歩中は、吠え始めたらそのまま黙って歩きつづけます。車の中では、どうしようもないのでそのままにして、おさまってから「吠えちゃダメ」と言うくらいです。その時に手なんかだしたら、血が出るほどに噛みつかれます。最初の躾がだめだったんですよね・・・!?
M.Tさん
【アドバイス】
座れ、座って待てはできるのに伏せができないというところに問題がありそうです。伏せは服従の姿勢です。支配的な犬の場合は伏せを無理にさせようとすると嫌がることがあります。または、まったくしません。
そこで、考えられるのは、M.Tさんのヨーキーちゃん(以後Yちゃんと呼びます)の問題点は、Yちゃんがリーダーではないかということです。リーダーは下位の者の言うことは聞きません。
犬はリーダーを必要とする動物です。勇敢な犬、怖がりな犬など、さまざまな犬がいますが、どんな犬も常にリーダーが必要です。犬は適切な教育を受けることがなければ、飼い主をリーダーとしてふさわしくないとみなし、犬が飼い主を超えてリーダーになってしまうのです。また、リーダーになった犬は不幸といえます。というのは、リーダー犬はストレスがたまりやすく、短命になりがちです。反対に、飼い主がリーダーとなり飼い主に服従する犬は、すべてを飼い主に委ねることができ、毎日を安心して暮らすことが出来るのです。つまりストレスも少なく、幸せに暮らせるのです。
そこで、Yちゃんの吠える、噛むの問題解決には、リーダーとなった犬を飼い主に服従させることができる心理療法によるプログラムをおすすめします。これは多くの専門家がすすめる方法で、欧米では広く用いられている方法です。また、噛む、吠えるなどの問題解決にも効果があります。この方法はYちゃんのような成犬でも非常に効果が上がります。ただ、手間がかかるのと、家族全員の全面的な協力が必要なことが難点です。下記にそのプログラムをご紹介しています。文字にすると簡単ですが、実行するとなると、けっこう難しいものです。でもこの困難を乗り越えれば、それ以上の幸せを得られるはずです。ぜひチャレンジしてみてください。
アルファ・シンドローム(権勢症候群)の矯正方法
まず、犬の寝場所は家族があまり近づかない場所に移動します。居間や寝室などは犬のリーダー意識を強化してしまいます。家の中で居間や寝室以外の適当な場所を決めてください。食事も家族が終ってから、寝場所で与えてください。これは寝場所と食事場所を移動するだけで、犬を寝場所にくくり付けて置く意味ではありません。家の中での行動はそれまでと同じように自由に動けるようにしてあげてください。
そして、家族全員が全く犬をかまわないようにします。撫でる、視線を合わす、名前を呼ぶ、などは一切厳禁です。つまり全く無視するのです。また、家族の会話の中で「Yちゃんが…」など、犬を話題にした会話を犬の前ですることも禁止です。散歩も止めます。この状態を2週間続けます。最も重要なことは家族全員が協力することです。この期間内に、家族のなかの一人でも、また1回でもYちゃんの相手をすれば、このプログラムは失敗に終ります。可哀相だからとついついかまってしまいますが、
この期間内でYちゃんにやってよい事は、次の2つだけです。一つは、食事と水をやること。もう一つは、トイレに連れ出すこと。散歩をさせるのではありません。トイレをさせるだけです。
次第にYちゃんの態度に変化が現われてきます。たとえば、家族の前でお腹を見せてひっくり返るなどの変化です。また、吠える、物を壊すなどの行動が一時的に悪化するのが普通です。ショックで下痢をする犬もいるようです。なんらかの変化があっても、そのまま2〜3日続けます。もし、何の変化もみられない場合は、2週間を限度としてこの段階を終えます。
次の段階では、犬が近寄ってきたら、「座れ」または「伏せ」を命じてから、撫でます。短時間でかまいません。犬が楽しいと思う何か、たとえば散歩に出る、食事をやるなどの前には必ず何かを命令します。このやり方は、この先も家族全員がずっと続けてください。
また、朝晩5分程度、簡単な訓練をします。これを1〜2週間続けます。座れ、座って待て、伏せ、伏せて待て、来いなど、訓練は既に出来るものから始め、出来ない指示にもチャレンジしてください。そして訓練の最後は必ずできる指示を与え、成功させて終らせてください。この朝晩の訓練の中で、アイコンタクトと伏せ、伏せて待ては必ず取り入れてください。伏せは前述したように服従の姿勢です。アイコタクトは犬と飼い主とのコミュニケーション・チャンネルです。このチャンネルの確立が大切です。1日数回はアイコタクトをします。犬の名前を呼んで、犬が飼い主を見るようにし向けます。犬の目とあなたの目の線上に手を持ってきます。そのとき、手に小さなおもちゃやおやつなどを持って犬に見せてやると、簡単に注目させることができます。1秒でも目が合ったら、誉めてやり、ご褒美をやるなどして心理的に犬の行動を強化してやります。
この段階が順調に進めば、心理的に犬は「リーダーの座から降ろされ、飼い主がリーダーになった」と考えられます。
そして、次の段階で、散歩をして徐々に他の犬に合わせてみたり、車に乗せてみます。吠えて、噛まなければ成功ですが、そうはうまく行かないかもしれません。ただし、もうこの段階では犬はリーダーではなく、飼い主がリーダーですから、飼い主の指示には従います。こうなれば、訓練がスムーズに行えるようになります。まだ、吠えるようであれば、3ページの【散歩中に吠える】を参考にしてください。また、ムダ吠えを防止するトレーニンググッズを取り入れることも効果的です。これは吠えると首輪が震動し、吠えるのを止めるというものです。これを使う場合は必ず「静かに」という指示を与えて、最終的にはこのトレーニンググッズを使用しないで、吠えるのを止めさせるようにします。
犬が吠えると首輪が震え、犬は吠えるのを止めますが、吠えるのを止めた瞬間に「静かに」という指示を低い声でしっかりと言います。そのまま静かにしていたら、誉めて、ご褒美をやります。これを繰り返すことで、次第に吠えることは無くなります。同時に噛むこともおそらく無くなるはずです。
「アイコンタクト」、「座れ・座って待て」、「伏せ・伏せて待て」、「来い」の訓練方法は下記を参考にしてください。
アイコンタクト・座れ・座って待て 伏せ・伏せて待て 来い
M.T様へ
このアドバイスの中でご不明な点があればDog Magazine編集部までご連絡ください。また、よろしければこのアドバイスで、矯正できたかどうかなど、その後についても教えてください。
■このご相談内容について、私はこうして直したなどの体験談やアドバイスなどがあれば
Dog Magazine編集部までお寄せください。
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