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Dog Magzineにお寄せいただいた犬のしつけのご相談です。
ドッグマガジンの編集スタッフが、トレーナーさんをはじめ経験者の皆さんなど、多くの人のご意見をお聞きし、それをまとめてアドバイスをさせていただています。

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【噛み癖がひどい】
現在9ヶ月になるトイプードルを飼っています。大きめで6キロくらいになります。
噛み癖がひどく困っています。2人の子供が居ますが、思いっきり歯ぐきむき出しで噛んで、ケガをすることがあります。子供達は怖がって近づきません。
主人には服従しますが、私<妻>にも飛びついて噛んできます。普段はサークルに入っていますが、出すと興奮してガルル〜と言いながら噛んできます。
散歩は2回です。雨の日はしません。リードをつける時も格闘です。サークルから出して、楽しく遊ぶにはどうしたらよいのでしょうか?よろしくお願いいたします。
S.Iさん
【アドバイス】
ご相談内容からはっきり言えることは、ご主人だけをリーダーとしてみているようです。
ご主人以外の家族の方々は全員が、このわんちゃんより下位にあります。犬は自分より下位のものの言うことは聞きません。
まずは、ご主人に全くわんちゃんを無視していただくことです。全くかまわないようにしてもらってください。これがまず第一のポイントです。撫でることはもちろん、言葉をかけることも、目をあわすことも禁止です。
そうすることで、他の家族の方々に、わんちゃんからなんらかのアクションがあると思います。その時に、座れ、伏せ、待て、来いなどの服従訓練を行ってください。服従訓練は、5分〜10分程度の短い時間でいいですから毎日続けます。これで、かなり改善されるものと思われます。
もし、上記の方法でなんの改善も見られなければ、吠える・噛むのご相談でもご紹介しましたが、リーダーとなった犬を飼い主に服従させることができる心理療法によるプログラムをおすすめします。これは多くの専門家がすすめる方法で、欧米では広く用いられている方法です。この方法は犬をリーダーの地位から降ろす方法で、噛む、吠えるなどの問題解決にも効果があります。
下記にそのプログラムをご紹介します。
まず、犬の寝場所は家族があまり近づかない場所に移動します。居間や寝室などは犬のリーダー意識を強化してしまいます。家の中で居間や寝室以外の適当な場所を決めてください。食事も家族が終ってから、寝場所で与えてください。これは寝場所と食事場所を移動するだけで、犬を寝場所にくくり付けて置く意味ではありません。家の中での行動はそれまでと同じように自由に動けるようにしてあげてください。
そして、家族全員が全く犬をかまわないようにします。撫でる、視線を合わす、名前を呼ぶ、などは一切厳禁です。つまり全く無視するのです。また、家族の会話の中で、犬を話題にした会話を犬の前ですることも禁止です。散歩も止めます。この状態を2週間続けます。最も重要なことは家族全員が協力することです。この期間内に、家族のなかの一人でも、また1回でわんちゃんの相手をすれば、このプログラムは失敗に終ります。
この期間内わんちゃんにやってよい事は、次の2つだけです。一つは、食事と水をやること。もう一つは、トイレに連れ出すこと。散歩をさせるのではありません。トイレをさせるだけです。
次第にわんちゃんの態度に変化が現われてきます。たとえば、家族の前でお腹を見せてひっくり返るなどの変化です。また、吠える、物を壊すなどの行動が一時的に悪化するのが普通です。ショックで下痢をする犬もいるようです。なんらかの変化があっても、そのまま2〜3日続けます。もし、何の変化もみられない場合は、2週間を限度としてこの段階を終えます。
次の段階では、犬が近寄ってきたら、「座れ」または「伏せ」を命じてから、撫でます。短時間でかまいません。犬が楽しいと思う何か、たとえば散歩に出る、食事をやるなどの前には必ず何かを命令します。このやり方は、この先も家族全員がずっと続けてください。
また、朝晩5分程度、簡単な訓練をします。これを1〜2週間続けます。座れ、座って待て、伏せ、伏せて待て、来いなど、訓練は既に出来るものから始め、出来ない指示にもチャレンジしてください。そして訓練の最後は必ずできる指示を与え、成功させて終らせてください。この朝晩の訓練の中で、アイコンタクトと伏せ、伏せて待ては必ず取り入れてください。伏せは服従の姿勢です。アイコタクトは犬と飼い主とのコミュニケーション・チャンネルです。このチャンネルの確立が大切です。1日数回はアイコタクトをします。犬の名前を呼んで、犬が飼い主を見るようにし向けます。犬の目とあなたの目の線上に手を持ってきます。そのとき、手に小さなおもちゃやおやつなどを持って犬に見せてやると、簡単に注目させることができます。1秒でも目が合ったら、誉めてやり、ご褒美をやるなどして心理的に犬の行動を強化してやります。
この段階が順調に進めば、心理的に犬は「リーダーの座から降ろされ、飼い主がリーダーになった」と考えられます。
全く無視するというのは、言葉で言うよりもかなり難しいのですが、思い切って実行されることをおすすめします。9ヶ月ですから、できるだけ早い方がよいと思います。
そして家族全員(子どもさんも含めて)が、わんちゃんより上位に立つ必要があります。しつけ訓練(服従訓練)は子どもさんも含めて家族全員で、行うようにしてください。
「アイコンタクト」、「座れ・座って待て」、「伏せ・伏せて待て」、「来い」の訓練方法は下記を参考にしてください。
アイコンタクト・座れ・座って待て 伏せ・伏せて待て 来い
S.I様へ
このアドバイスの中でご不明な点があればDog Magazine編集部までご連絡ください。また、よろしければこのアドバイスで、矯正できたかどうかなど、その後についても教えてください。
■このご相談内容について、私はこうして直したなどの体験談やアドバイスなどがあれば
Dog Magazine編集部までお寄せください。
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