ペンシルベニア州にあるコウモリ保護施設では、スタッフたちが毎朝、大きな飛行用の囲いを巡回し、保護中のコウモリたちの様子をチェックしています。ある朝のこと、青々とした芝生の上に、ぽつんと生えたキノコのような物体を見つけて足を止めました。
でも、それは本物のキノコではなかったのです。
スタッフがしゃがんでよく見てみると、そこにいたのは保護中の東アカコウモリ「パンキン・ロール」でした。その体を丸め、しっかりと地面にカモフラージュしていたのです。
「この種が木の中だけでなく、地面でもこんなに見事に姿を隠せるなんて素晴らしいことです」と、施設の創設者でありディレクターのステファニー・ストロンシックさんは話してくれました。

キノコと間違える、その見事な保護色
写真で見ると、本物のキノコと見間違えるほどそっくりな姿。これほどまでに自然と一体になれる存在があることに、改めて驚かされます。
実はこうした行動は、東アカコウモリにとってはごく自然なこと。パンキン・ロールのようなコウモリたちは、ときどき地面に降りて休む習性を持っているのです。
「東アカコウモリは、自分の尻尾の部分で“ブランケット”のように体を包み込み、地面や葉の下、草の間などに小さな寝床を作って日が暮れるまで休みます」とストロンシックさんは説明します。
自然に戻ったパンキン・ロール

現在、パンキン・ロールは無事に自然に帰り、夜になると広葉樹の枝の間で心地よく羽を休めています。その姿を想像するだけで、胸があたたかくなりますね。
ストロンシックさんは、こうした身近で繊細なコウモリたちの魅力を多くの人に伝えることで、ネガティブなイメージを少しでも払拭していきたいと願っています。
「コウモリは“夜の怪物”のように語られがちですが、実際はとても小さくて繊細で、臆病な生き物なんです。もっと多くの人に、彼らの存在を理解し、大切にしてもらいたいと思っています。」
私もこの記事を書きながら、デスクの片隅に置いた湯気の立つ紅茶をひとくち。そばでは猫の「ささみ」が丸くなって眠っています。自然の中にも、私たちのそばにも、こんなに優しく美しい命があることに、改めて感謝したくなった朝でした。